「ビハーラ花の里病院」

市民公開講座を開催しました! 

10月25日(土)みよしまちづくりセンターにおいて 当法人主催の市民公開講座「パーキンソン病を 深める 理解する」を開催しました。当日はあいにくの小雨模様でしたが、多くの方にご参集いただきました。

改めて深くお礼申し上げます。

基調講演は岡山大学学術研究院 医歯薬学域脳神経内科教授石浦浩之先生(座長 鳥取大学医学部医学科脳神経内科学講座 脳神経内科学分野教授花島律子先生)により

「脳神経内科と最先端研究の紹介」をご講演いただきました。

パーキンソン病をはじめ、認知症、脳卒中などはすべて「脳神経内科」の専門領域です。杉田玄白らにより「神気の経脈」と訳されたという「神経」にまつわる黎明期から、現在広く知られている脳神経内科の主な疾患について発生機序や症状など、先生はとてもわかりやすくお話くださいました。

先に述べた疾患はいずれも早期の診断、早期の治療が重要です。そのためにも専門科である「脳神経内科」をより広く認知していただき、本人・ご家族の迅速な判断で適切な初診につなげていただくことが大切になります。先生は、脳卒中の3大徴候「FAST」、健常な状態と認知症の中間である軽度認知障害「MCI」など、周囲が変化にいちはやく気がつき早期に介入することで重症化を防げる症状、段階があることを示されました。少しでもおかしいと感じたら「とにもかくにも脳神経内科へ」との啓発のお言葉がとても印象的でした。岡山大学での最新の遺伝子研究のお話なども興味深く、学び多いご講演でした。

特別講演は国立精神・神経医療研究センター病院長 戸田達史先生(座長 徳島大学大学院 臨床神経科学分野教授 和泉唯信先生)による「パーキンソン病~最新の治療・病態」です。パーキンソン病の診断は、似て非なる他の病気との鑑別がとても重要であるとのこと。それにはダットスキャンとMIBG心筋シンチグラムが有用であるほか、病歴聴取(どんな症状がどのように出現してきたか)診察所見(パーキンソニズムがあるか、他の症状がないか)も重要なのだそうです。わたしたちが受診の際には、症状や病歴の情報を時系列と共に整理して医師と情報共有することが大切なのですね。

またパーキンソン病は「振戦」「筋強直」「無動」「姿勢反射障害」の4大症状が知られていますが、非運動症状・・たとえば便秘や嗅覚異常、過度な眠気、ねごと(夢遊病)などの多彩な症状が前触れ的に出現しているとのこと。その個々の多彩な症状(木)に気をとられ、それらがパーキンソン病(森)につながっていることに気が付けないことを「木を見て森をみず」と例え、注意喚起をされました。

また戸田先生は「10年、数十年前には言われなかったけれど今ではパーキンソン病は鼻から始まると言われています」とおっしゃいました。「鼻から始まる」という見識自体も驚きでしたが、同時に疾患の研究は日進月歩であること、私達も情報を更新していくことや、注意深く身体の異変を観察して「おかしい」と感じることは日々記録に残しておくことの大切さを感じました。後から振り返ると・・ということが実際にあるかもしれません。

パーキンソン病のお薬については、L-ドパを軸とした抗パーキンソン病薬を中心とした治療を行い、MAO-B阻害薬も早期から進行期に至るまで有用であること。逆にそうしたお薬の副作用やウエアリングオフ(薬が効きにくくなる状態)など服薬に関するお話のほか、リハビリテーションの大切さもお話になりました。印象的だったのは、肺炎や骨折などで一時的に身体機能が落ちたとしても、リハビリを継続することで回復するというお話でした。

遺伝子面からの発症機序・また最新の遺伝子治療・デバイス治療についても示され、最後は「Time to  Say Good-bye」 (有名な曲です)を口ずさまれながら「難病にsay good-byeできる日をめざします」とユーモアを交えて締めくくられ、和やかな雰囲気で盛会のうちに講演会は閉幕となりました。

本講演は当院公式YouTubeで 11月 17日より公開させていただきます。また有線のピオネットの情報番組で10月29日に紹介され11月中旬頃に講演が放送予定です。

日本を代表する先生方のご講演を、ぜひご覧ください。

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